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ブランディング事例紹介|ブランディング・ブランド戦略 [TOPPAN BRAND CONSULTING]

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石屋製菓株式会社様

信頼回復から、さらなる成長へ

「白い恋人」の石屋製菓から、「ISHIYA」の「白い恋人」へと転換を目指すブランディング。

石屋製菓株式会社 代表取締役社長 島田俊平氏 (左) 取締役 財務業務部長 本間哲平氏 (右)

速やかに改革・改善策を実施

石屋製菓株式会社(以下、石屋製菓)様の銘菓「白い恋人」は、北海道を代表するブランドとして多くの人々に愛されてきました。

ところが、2007年8月、賞味期限の不正表示が発覚すると、数多くのメディアによる不祥事報道とともに、製造、販売の中止を余儀なくされます。

引責辞任した前社長の後任として主力銀行から派遣され、代表取締役社長となった島田俊平氏は、経営陣を一新し、再建に向けて動きだします。

島田氏は、着任後わずか1週間で、経営者、医師、学者、弁護士、消費者代表などからなる「コンプライアンス確立外部委員会」を組織します。そして、マイナス要素もすべて公表し、その対策を伝えることで信頼を取り戻そうと走り始めました。

まず、食品衛生管理を徹底するためのさまざまな取組みを開始。そして、それまで箱にしか表示されていなかった賞味期限を、個別の包装に印字できるようにするなど、工場設備の改善も行いました。

「どうやって信頼を回復するか、愚直にやっていくしかないと思いました。お菓子は、幼児からお年寄り、また病気の人まで、万人が食べるものです。ですから、菓子メーカーは衛生管理だけはパーフェクトでなければなりません。賞味期限の改ざんといったことは、しくみをつくれば防げます。しかし、それをやっただけでは消費者は納得しないでしょう。衛生管理・品質管理に徹底して投資し、会社として努力していることを訴え、わかってもらうことが信頼回復の一番の近道ではないかと考えました」(島田社長)

ブランディングへ向けて

信頼回復へ向けた体制づくりが進むなか、そのような石屋製菓様の姿を、消費者をはじめとしたステークホルダーにきちんとコミュニケーションをとり、ブランド再生へとつなげることの重要性を感じたトッパンは、ブランディング支援の自主提案をしました。消費者調査や視覚監査など現状を把握するための徹底したリサーチを実施し、課題を洗い出すとともに、ブランド強化に向けた戦略を数回にわたりプレゼンテーションしました。

その内容は、非常に高い認知度をもっている「白い恋人」に比べて、認知度の低かった企業ブランド「ISHIYA」をきちんと確立するとともに、今後のさらなる成長シナリオへ向けて、「ISHIYA」ブランドでの幅広い商品展開を目指そうというものでした。

そのために、調査の結果これまであまり意識されてこなかった企業ロゴ「ISHIYA」を新たに開発し、さまざまなコミュニケーションアイテムに展開することで、社内外に新生石屋製菓=ISHIYAを定着させ、ブランドを再構築していこうと考えました。

VI開発、そしてデザイン変更

新しいロゴマークは、2000ものアイデアスケッチから、役員と従業員代表、そしてトッパン・ブランドコンサルティングチームの協議により徐々に絞り込まれ、決定しました。また同時に、「白い恋人」のロゴもリファインしました。これらの使用規定をVI(ビジュアルアイデンティティ)マニュアルとしてまとめ、パッケージを中心に、広告、屋外看板、ホームページ、名刺、封筒など、あらゆるアイテムのデザイン変更が行なわれました。

2008年8月には、新聞広告、テレビCMで新しいロゴマークを告知し、社会に向かって広く「ISHIYA」ブランドの浸透を図りました。

「今までは、その時々の都合に合わせていろいろなデザインをつくってきました。VIマニュアルが確立されてからは、コンセプトが明快になったので、どのように展開し、アピールしていけばよいのか高いレベルでの検討ができるようになりました」(本間取締役)。

北海道の「ISHIYA」から世界の「ISHIYA」へ

2007年11月、「白い恋人」の生産・販売が再開されると、多くの人々は販売再開を歓迎しました。その後、売上を順調に伸ばして、その結果、石屋製菓様の2009年4月期決算は、売上高93億4100万円、最終利益13億7900万円と、いずれも過去最高を記録しました。

「特約店回りをしていると、『ISHIYA』ブランドを徐々に浸透していますよ、という声を聞くことが多くなりました」(島田社長)。

「ISHIYA」ブランドのブランド力が上がっていることは、「白い恋人」以外の商品の販売実績にも表れています。5年前に発売した「美冬」は、前期(2009年4月期)に比べて2倍に伸びています。今期は億単位の収益が見込めるようです。

2009年8月に新発売した「TSUGUMI」も好調なスタートを切っており、個々の商品と「ISHIYA」との結びつきが明確に認識され始めています。

「親しみがあって、洗練されたロゴにより『ISHIYA』の認知度をさらに上げていって、いろいろな製品をつくっていきたいと思っています。『白い恋人』という巨木の周りに、細くてもいいから柱を複数立てていって、北海道の『ISHIYA』から日本の『ISHIYA』へ、さらには日本を代表する菓子メーカー『ISHIYA』として世界に飛躍していきたいと考えています」(島田社長)。

ISHIYA

コーポレートブランドロゴのコンセプト

ISHIYAのゆとりのある文字間は北海道の広大な大地を表し、最上級の意味を持つ「A」の天頂に輝くISHIYAスターは、北の夜空の頂点に明るく輝く星をイメージしています。これは真心を込めて「北海道のお菓子」をつくる中心的な存在であり、高い志と向上心を持ち続け、品質のこだわりと、より高いステージを目指して追求していくという企業姿勢を表現したものです。

  • 本プロジェクト担当
  • brand consulting, strategic planning, & produce
  • creative direction
  • 佐藤 圭一


※本記事は、ideanote vol.35(2010年1月1日発行)に掲載した内容を再編集したものです。


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